2011年07月28日

「里山」の役割

先日、野菜の直売所「ふれあい矢野」の取材に行ったときに、そこの方から「最近小動物による被害が多くて野菜が出せないんや」ということを伺いました。
その方だけでなく、シカが柵を飛び越えて田んぼに入ってきてやられたとか、地域を回ると同じようなことをいろんな方から聞きます。でも、獣害はかつては今ほどではなかったよう。
そういえば、最近はどこも山すそや田んぼの周りにフェンスやロープが張りめぐられているのを見ますね。

環境の変化で山に動物の食べ物が少なくなったとかいろいろ理由はあるようですが、その一つに「里山」が果たしてきた役割というものもあるようです。(「SATOYAMA」は今では世界的な言葉になっています)

ご存じのとおり、「里山」は農作の肥料となる草を取ってきたり、燃料となる薪をひらってきたり、炭を焼いたり、家畜を放したり、家の材木としたり、村人の生活に必要な糧を与えてくれる大切な場でした。そのために村人は里山に絶えず手を入れ管理して、そしてそこにはいろんな植物が生え、動物が集まるという、それこそ生物多様性の空間でした。

しかし、時代とともに農作物の肥料は化学肥料に代わり、燃料も石油に代わって、次第に「里山」は里山としての機能を果たさなくなって放っておかれていきました。そうすると生命力の強い竹だけが独り勝ち状態で、「里山」は竹林化していきます。

そんな「里山」ですが、学的な研究では、自然の山と人家や田んぼの間にある「里山」は、動物と人間のバッファゾーン(緩衝地帯)という見方をしています。里山は自然と人間の境界領域。里山に絶えず人の気配があることによって動物は警戒し、また人がいないときでもそこには下草など豊富な食べ物がある。そうして、里山は動物が人間界(人家や田畑)に来るのを阻止していた。それが里山が放置されることによって、そのバッファゾーンが無くなって、動物たちは直に人間界に現れるようになったということです。

地域のある方が言われていました。人手がなくなって山に近い田んぼが放棄されると、今度はその内側の田んぼが動物にやられると。これを聞くと上の研究報告も満更間違いではないのかも。

獣害の対策として、入会地としてあった、つまり共同管理されていた「里山」のあり方というものも、もう一度考えてみるのもいいのかもしれません。もう個人ではきついですしね。








こ  


Posted by 矢野町交流広場 at 14:35Comments(0)推進員のつぶやき