2013年12月10日

◆刀鍛冶の桔梗さん

先週、前から一度ゆっくりお話をうかがいたいと思っていた刀鍛冶の桔梗光史(ききょうみつし)さんにお会いするため、瓜生の羅漢の里にある茅葺の水車小屋「桔梗隼光(はやみつ)鍛刀場」にお邪魔しました。桔梗さんは創作中にもかかわらず、やさしく、たくさん答えてくださいました。

桔梗さんは2010年からこの地で刀づくりに励んでおられます。ここは周りの環境もよく気に入っておられ、たくさんの方に見てもらいたいとおしゃっておられました。ほんとに鍛冶の作業とこの小屋の雰囲気がよく合っています。

桔梗さんについては、もうすでに何度か新聞などで紹介されているので、ご存じの方も多いかと思います。先日も朝日新聞の「ひと模様」で紹介されていました。その記事で僕が気になったのは「出来に満足したことはまだない」と書かれていることでした。そこで、その辺をちょっと聞いてみたいと思いました。

桔梗さんは、これまでの枠に捉われない、独自性というか独創性というか、オリジナリティのある作品を作りたいとのことです。そのためには一度、きっちり伝統というか、刀の出来が素晴らしかった鎌倉時代の技術を探求・習得し、しかしそこに留まらずそこから一歩踏み出す必要があるだろうと考えられておられます。

そこで、桔梗さんが目指す作品とは、「自然」というか、今ここにあるこの材料そのものがもつ力・魅力をめいっぱい引き出した作品だということです。そこには、いい意味で自分の期待を裏切る、自分にとって新しい発見があるといいます。

桔梗さんにとって焼き入れとは、人為的な行為で、それが前面に主張するのではなく、その材料自身すなわち「自然」の魅力をうまく引き出す作業だと捉えられています。「自然」と「人為」がうまくマッチしてできた作品が、見飽きない、いい作品なんだろうなとおっしゃっていました。哲学的で深いですね。そういう理想の作品により一歩でも近づくことをぼくも願っています。そして、出来た刀を見たいと思いました。

以前ブログで、三濃山近郊のこのあたりは瓜生にも金掘や鍛冶屋川という地名や川の名前がついていて、製鉄や鉱山に深くかかわる地であったと書きましたが、今桔梗さんがこの地で刀鍛冶をやっていることは、やっぱり桔梗さんにとっても感じるところがあって、「来るべきしてきたのかなぁ」といわれていました。将来的には、この地でこの地の鉄を使った「たたら」もやってみたいとも。いいですね、西播磨産の刀ができるのかな。

桔梗隼光鍛刀場では、毎月第2、第4日曜日に「小刀づくり体験教室」をされています。興味ある方はぜひ体験してみては。詳しくは、鍛刀場まで(090-8358‐4748(桔梗))。


刀鍛冶の桔梗さん
鍛刀場の水車小屋。風情があります

刀鍛冶の桔梗さん
火床(ほど)。鉄がフツフツ沸騰する音に耳を澄まします
左の「ふいご」はもう作る職人さんがいないのだそう

刀鍛冶の桔梗さん
金床で鉄を打ちます。火花が花火のように飛び散ります。きれい

刀鍛冶の桔梗さん
細かなところは手で、トン・カン

刀鍛冶の桔梗さん
温和な感じだけど芯のある桔梗さん

刀鍛冶の桔梗さん
今日も水車は回る




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Posted by 矢野町交流広場 at 15:55│Comments(0)お宝発見(人・団体)
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