2012年02月15日

お寺でサロン-明専寺

昨日(2月14日)、第8回矢野町お宝探検サロン(略して、おたたん)を、下田の雲龍山明専寺で行いました。お寺でサロンの3回目です。今回は、お天気が生憎の雨ということもあって、8名の方がお集まりくださいました。




矢野町やこの辺のお寺は、もともとは真言宗や他の宗派だったのが浄土真宗に後世変わっていったお寺が多いそうです。そんななか、明専寺は最初の建立から浄土真宗で、創立が明応5年(1496)と伝えられており、相生市の真宗系のお寺の中でも池之内の長専寺とともに最も古いお寺となっています。

ということで、住職さんはまずはじめに、このあたり(矢野・若狭野)の浄土真宗の広まりについて、『相生市史』をもとにお話しくださいました。真宗本願寺の八世蓮如上人が積極的に布教にのりだしたとき、弟子の空善を播磨地域の布教に西下させて、明応2年(1492)、姫路に英賀御坊を創立します(現在はお西の亀山本徳寺とお東の船場本徳寺に分かれている)。そして、ここを拠点に空善の弟子たちが池之内や下田、相生などで布教活動をして浄土真宗が広まったということです。

この地域で他の宗派を押しのけてまで広まったのは、真宗のそうした精力的な布教活動の他にも、この時代・この地の人々にとって最も受け入れやすく、彼らに合った宗派だったのでしょう。まあ、いえば庶民的ということでしょうか。『相生市史』によると宗教の広まりについて、「動乱期に直面した人々は宗教に救いを求め、また宗教もそれに応えることによって、その教勢を拡大してきた」と述べてあります。

さて、翻って、住職さんのお話は現在に移ります。政治不信、少子高齢化、経済不況、リストラ、格差社会、勝ち組/負け組、自己責任、ストレス社会、自死者年間3万人、価値観の多様化、人間関係の希薄化など、このような現代社会の実態から現代はそれこそ動乱期ともいえ、現代社会の生き辛さを写します。しかし、本来はそのような人々の心の支えにならなければならないお寺なのに、仏教離れや寺院離れ、機能の低下という現実があります。住職さんはこれからのお寺のあり方を模索されています。

それにつながって「地域とお寺」というお話。うれしいことに矢野と若狭野にある真宗のお寺は、お東・お西という枠を超えて「矢野谷法中9か寺」といって連携が取れているそうです。9か寺の住職と檀家のゴルフ有志でつくる「蓮華の会」という集まりがあります。住職さんにはそれがゴルフだけでなく地域のことも考える、それこそ「地域とお寺」の集まりに発展していかないかという思いがあるようです。

また、矢野谷法中9か寺は、矢野と若狭野の門徒の小学生を集めて毎年サマースクールを各お寺が持ち回りで開催しているそうです。今年で12回目。もともと矢野は寺小屋が盛んだったとも聞きます。地域とお寺と子ども、接点がますます少なくなってきているこの時代にあって、このような試みは大変意義のあることだと思います。

なんせ子どもは地域の宝で、地域の未来はその子どもたちが担うのですから。下田の自治会長さんは小さいときに、境内の木に登ったり穴を掘ったり、野球をしたり、お寺で遊んだ思い出を懐かしそうに話されていました。矢野谷法中では、今度新小学一年生になる子どもたちへのお祝い行事もされるそうです。

今回のお寺でサロンは、現実的で深刻な問題を取り上げた、考えるサロンとなりました。




明専寺創建時の御本尊(阿弥陀如来画)




先の法中報恩講で掲げられた本願寺歴代の門主の掛け軸


こ  


Posted by 矢野町交流広場 at 13:49Comments(0)おたたん・お寺でサロン