2012年04月13日

お寺でサロン-光専寺




4月9日(月)、森の光専寺「矢野町お宝探検サロン(おたたん)」が行われました。矢野町に5つのお寺があるなかで、「お寺でサロン」としてはトリを務めます。今回は14名の方が参加くださいました。まずは「おつとめ」から始まりました。

光専寺はもともと禅宗か真言宗のお寺で、浄土真宗になってから500年ちょっとになるそうです。そして金坂から移ってきたそうです。現在の本堂は、宝暦11年に建てられたもので築約270年、平成11年に3回目の大修理が行われたということです。

さて、森の光専寺といえば、郷土が誇る画家福田眉仙ゆかりのお寺として知られています。ということで、光専寺のお宝は当然、福田眉仙ということになりますね。住職さんからは眉仙の光専寺にまつわるお話を聞かせていただきました。

福田眉仙は明治8年、6人兄弟の末っ子として瓜生に生まれます。しかし、眉仙が10歳の時に母親が他界し、継母ができますが、さみしさもあったのか、この頃から眉仙はよく光専寺に遊びに行ったそうです。そこで当時のご住職から漢文などいろんなことを学んだようです。そして、この頃から地元の画家に絵を学び描き始め、非凡な才能を発揮します。光専寺には14歳の時に描いた蓮の絵が残されています。

眉仙の画風は写実主義が基本で、モットーは「加えず、飾らず」。画商の御用画家にならず、自分が描きたい絵をひたすら描き続け、「無欲の画家」と呼ばれました。東の横山大観、西の福田眉仙と称されますが、眉仙はそのせいもあってあまり知られるところとなりませんでした。

昭和17年、眉仙66歳、子どものときに光専寺にお世話になったお礼にと、住職との約束を果たすため、45日間家族ともども光専寺に泊まり込み大作を描きました。ここでは詳しくご紹介できませんが、大丈夫。

今年は相生市の市制70周年と眉仙の50回忌に当たります。そこで、相生市は大々的に福田眉仙展を下記のとおり開催します。眉仙の作品が一堂に会します。どうぞ足をお運びください。


福田眉仙展
2012年9月6日~27日(14日と25日は休館)
相生市民会館






こ  


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2012年03月22日

お寺でサロン-法林寺

報告が遅くなりましたが、去る3月15日に9回目の「矢野町お宝探検サロン(おたたん)」を榊の法林寺で行いました。「お寺でサロン」として4つ目のお寺になります。今回は10名の方が集まってくださいました。


まず、サロンの冒頭にみんなで「正信偈」(正確には正信念仏偈)をあげました。



ぼくは実は正信偈をみんなであげるという、この「声を合わせる」行為が好きです。
内容は正直わかりませんが、ただみんなと一緒に先導者についてうたうと、最初はバラバラでも次第に一つになって一体感が生まれます。この感覚が好きです。

2月の勉強会で「契約講」という近世以前から続く住民自治組織の話をしました。契約講は契約(総会のこと)の最後にみんなで「謡」を歌って閉めます。実際にその場を見せて貰いましたが、先導者のもと謡が一つになる光景はすばらしいものでした。これも上の多人数による正信偈の読経に通じるものがあるように思います。こうして村落共同体は維持されてきたのだとあらためて思いました。


「うちのお寺は「お宝」ってないからなぁ」とおっしゃられる住職さんが、「しいて言うたら、うちは『聞法』が宝かな」といわれました。『聞法』とは、みんなが集まって教えを聞いたり、ああだ、こうだとみんなが話し合うことだそうです。これは素晴らしい答えですね。

今の時代、フェイスブックだとかミクシィなどSNS(ソーシャルネットワークサービス)の仮想空間におけるバーチャルな集まりが可能性を広げますが、逆にそういう時代だからこそ実際顔をつき合わせて話し合うというリアルな集まりがもつ意義はますます重要になってくると思います。課題解決にも原点に立ち返ることが必要でしょう。


住職さんは「お宝」がないと謙遜されましたが、そんなことはない、立派なものを見せていただきましたよ。内陣のこの部分にこんな欄間があるお寺はちょっとないそうです。25の菩薩が彫ってあります。国宝級だそうです。







それから個人的には、外陣正面に昔ながらの蔀戸(雨戸)があって、今も現役で使われているのは貴重だなと思いました。上からバタンと下りてくるんですものね。







サロンの様子


こ  


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2012年02月15日

お寺でサロン-明専寺

昨日(2月14日)、第8回矢野町お宝探検サロン(略して、おたたん)を、下田の雲龍山明専寺で行いました。お寺でサロンの3回目です。今回は、お天気が生憎の雨ということもあって、8名の方がお集まりくださいました。




矢野町やこの辺のお寺は、もともとは真言宗や他の宗派だったのが浄土真宗に後世変わっていったお寺が多いそうです。そんななか、明専寺は最初の建立から浄土真宗で、創立が明応5年(1496)と伝えられており、相生市の真宗系のお寺の中でも池之内の長専寺とともに最も古いお寺となっています。

ということで、住職さんはまずはじめに、このあたり(矢野・若狭野)の浄土真宗の広まりについて、『相生市史』をもとにお話しくださいました。真宗本願寺の八世蓮如上人が積極的に布教にのりだしたとき、弟子の空善を播磨地域の布教に西下させて、明応2年(1492)、姫路に英賀御坊を創立します(現在はお西の亀山本徳寺とお東の船場本徳寺に分かれている)。そして、ここを拠点に空善の弟子たちが池之内や下田、相生などで布教活動をして浄土真宗が広まったということです。

この地域で他の宗派を押しのけてまで広まったのは、真宗のそうした精力的な布教活動の他にも、この時代・この地の人々にとって最も受け入れやすく、彼らに合った宗派だったのでしょう。まあ、いえば庶民的ということでしょうか。『相生市史』によると宗教の広まりについて、「動乱期に直面した人々は宗教に救いを求め、また宗教もそれに応えることによって、その教勢を拡大してきた」と述べてあります。

さて、翻って、住職さんのお話は現在に移ります。政治不信、少子高齢化、経済不況、リストラ、格差社会、勝ち組/負け組、自己責任、ストレス社会、自死者年間3万人、価値観の多様化、人間関係の希薄化など、このような現代社会の実態から現代はそれこそ動乱期ともいえ、現代社会の生き辛さを写します。しかし、本来はそのような人々の心の支えにならなければならないお寺なのに、仏教離れや寺院離れ、機能の低下という現実があります。住職さんはこれからのお寺のあり方を模索されています。

それにつながって「地域とお寺」というお話。うれしいことに矢野と若狭野にある真宗のお寺は、お東・お西という枠を超えて「矢野谷法中9か寺」といって連携が取れているそうです。9か寺の住職と檀家のゴルフ有志でつくる「蓮華の会」という集まりがあります。住職さんにはそれがゴルフだけでなく地域のことも考える、それこそ「地域とお寺」の集まりに発展していかないかという思いがあるようです。

また、矢野谷法中9か寺は、矢野と若狭野の門徒の小学生を集めて毎年サマースクールを各お寺が持ち回りで開催しているそうです。今年で12回目。もともと矢野は寺小屋が盛んだったとも聞きます。地域とお寺と子ども、接点がますます少なくなってきているこの時代にあって、このような試みは大変意義のあることだと思います。

なんせ子どもは地域の宝で、地域の未来はその子どもたちが担うのですから。下田の自治会長さんは小さいときに、境内の木に登ったり穴を掘ったり、野球をしたり、お寺で遊んだ思い出を懐かしそうに話されていました。矢野谷法中では、今度新小学一年生になる子どもたちへのお祝い行事もされるそうです。

今回のお寺でサロンは、現実的で深刻な問題を取り上げた、考えるサロンとなりました。




明専寺創建時の御本尊(阿弥陀如来画)




先の法中報恩講で掲げられた本願寺歴代の門主の掛け軸


こ  


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2012年01月11日

お寺でサロン-西教寺

昨日(10日)、第7回矢野町お宝探検サロン、略して「おたたん」を榊の西教寺で行いました。今回は11名の方が集まってくださいました。住職の後藤さんは3年前に西教寺に入られた、お若い住職さんです。




矢野町榊にある西教寺は、浄土真宗お東(大谷派)のお寺です。開基は釈浄智(1512年没)で、赤松円心の三男則祐から数えて8代目にあたるそうです。ですので西教寺は500年を超える歴史があるのですね。

西教寺のお宝として、ご住職から「六道図」の掛け軸8枚を見せていただきました。1804年(弘化4年)にお寺が購入されたものだそうです。それは、日本人の精神性に影響を及ぼしたという源信の『往生要集』(985)をビジュアル化したものだそうです。

六道とは、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天という六つの迷界を指していて、そして衆生は六道の間を生まれ変わり死に変わりして迷妄の生を続けます。これを六道輪廻といいます。人間である私たちの寿命が尽きて赴くところは、生前において私たちが為したカルマ(行為)、すなわち善行・悪行によって決まるようです。

ということで、もっとも罪の深い人が行く地獄道の4枚から見させていただきました。







閻魔さまがいますね。閻魔さまから罪状を言い渡され、それに応じていろんな罰を受けます。切り刻まれたり、潰されたりしていますね。右にいくほど赤い火の面積が多くなり、罪が重いほど火による罰が増えます。最後は真っ逆さまに火の中を落ちていきます。非常にリアルな描写でインパクトの強い図です。子どもたちは怖いだろうなー。





続いて、あとの4枚です。六道のうち天道と修羅道は描かれてないようです。一番左が餓鬼道と畜生道、その隣が人間道です。そして、右の2枚に阿弥陀さんに導かれていく極楽浄土が描かれています。

ここで着目するのは、極楽浄土の図で一番右下の図です(下図拡大)。この図だけ他と違います。雪の中で人間が氷をお湯で溶かしています。つまり、ここは現世の世界だということで、氷は「苦」を表しています。還相により浄土から現世にもどったら、浄土で培った徳で苦を取り除いて下さいという意味が込められているそうです。奥が深いですね。



この六道図は必見だと思います。住職さんが内容を詳しく説明してくださいました。今回、サロンのために特別に見させていただきましたが、普段は年1回お彼岸のときに公開されているそうです。ありがとうございました。


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Posted by 矢野町交流広場 at 19:38Comments(0)おたたん・お寺でサロン

2011年12月14日

教順寺で「おたたんサロン」





昨日13日、第6回目の「矢野町お宝探検サロン(おたたん)」を菅谷の教順寺本堂で行いました。地域にあるお寺自体が地域のお宝だろうと、矢野町内にある5ヵ寺を訪ねそこでサロンをやろうということになって、今回教順寺が第1弾です。

門徒さんや地域の方も来ていただいて、13名の参加となりました。

まず、簡単に自己紹介をして、住職さんからお寺の歴史とお寺のお宝ということでお話をいただきました。お寺の歴史では、6代目住職が早世し、また5代目(田淵静縁師)が住職となるのですが、師も53歳で亡くなり、その後20余年、師の奥様の澄さんが坊守として一人お寺を守ってこられます。その時の切ないエピソードが胸を打ちます。

そして、教順寺のお宝といえば、すでにこのブログでも取り上げましたが、節談説教の全国行脚を精力的に行った田淵静縁師のお寺だということ。関連の書物が多数残されています。

それから、もう一つは、鎌倉時代の作だろうと思われる阿弥陀如来の仏像「木仏様」です。矢野町の郷土史家 小林楓村氏が記した『縁起書』には、「聖徳太子の御真作で、播磨国印南郡的形の浜より掘り出された像を、赤穂郡上郡村の旦隆なる人物が持ち帰り、同郡森村大庄屋坂田氏と因縁あり当家にて没し、当家より教順寺へ寄進された」とあるそうです。

仏像は、手が取れて顔や衣服は摩耗して表情もわかりません。仏像自体の価値としてはそれほどないようですが、長年の風雪に耐え、前傾姿勢で、凹凸が薄れ丸くなったその姿は、観る者を何か安らげさせます。





最後に、昭和29年の御遠忌で寺隣の山裾で、そこを舞台に地元の人たちによって「国定忠治」が演じられたという話がでてきました。その時、参加された方の父上が忠治を演じられたそうです。さらには、寺奥の西谷には芝居場所があったという言い伝えもあって、実際にそこへ見に行くことになりました。

なるほど、今は人工林が植えられていますが、谷底は平らな感じでそこを舞台に観客は上から見下ろす形で天然の舞台となりそうです。よく見てみると石垣の跡もあったり、ちょっとした小高い平らなスペースがあったりと、たぶんここに最初の「教順坊」があったのでしょう。確かにそこから村を見下ろす感じの見晴らしは最高です。



こ  


Posted by 矢野町交流広場 at 15:29Comments(0)おたたん・お寺でサロン

2011年07月13日

第1回お宝探検サロン




昨日(7/12)、第1回お宝探検サロンを開催しました。
3人の方が集まってくださいました。

瓜生の富田さんから三濃山にまつわる話を伺いました。
山頂にあって樹齢3、400年のシンボリックなアカガシの木が枯れがかっていたのを、住民の有志が寄付を募り、専門家をよんだりイベントをしたりして再生に乗り出した活動など、三濃山は聞けば聞くほど魅力的です(ここではちょっと詳しくは書けないけど)。
実際に三濃山に登る企画も立てたいと思います。





次回は、8月9日(火)10:30からです。
どうぞお集まりください。

いぶき」の焼き立てのパン、美味しかったです。
一人の方はいっぱい買って帰られました。



ゆずパンとコーヒー



こ  


Posted by 矢野町交流広場 at 16:59Comments(0)おたたん・お寺でサロン

2011年06月30日

お宝探検サロン

昨日の「矢野町交流広場ニュース6月号」でもお知らせしましたが、
毎月第2火曜日の10:30から、「矢野町お宝探検サロン」を矢野町交流広場で開きたいと思います。

このブログでも「矢野町お宝発見」ということで、縁切り地蔵、縁結び地蔵、安産杉、道しるべなどを挙げてきました。それらの情報は「こんなんあるで」という矢野のみなさんからの情報です。
まだまだ埋もれている、あるいは埋もれようとしているお宝があると思います。
そんなお宝情報を出し合って、食べ物や飲み物を口にしながら矢野町を語り合おうっていうのがこのサロンです。そして将来的にはそれらをつなぎ合わせ、物語を編み、矢野町の活性化につなげていけたらと思います。

サロンでは「いぶき」さんが焼き立てのパンを提供してくださいます。
ドリップのおいしいコーヒーもお入れします。
また、好きなものなんでも持ち込みOKです。
参加費は200円です。

どうぞみなさんお誘い合わせてお越しください。
お待ちしております。


「矢野町お宝探検サロン」(略称、「おたたん」)

開催日時:毎月第2火曜日 10:30~12:00
開催場所:矢野町交流広場(小規模作業所「いぶき」に隣接)
参加費:200円


第1回目は、7月12日(火)10:30からです。

(問い合わせ、連絡先)矢野町交流広場 0791-29-1580


また、お宝に関するいろんな情報をメールでも受け付けています。
yk-124hirobo@ivy.ocn.ne.jp




矢野町上


こ  
タグ :お宝サロン


Posted by 矢野町交流広場 at 12:14Comments(0)おたたん・お寺でサロン