2011年12月15日
◆「天空の城ラピュタ」から
天空の城ラピュタ
先週、12月9日に宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』がテレビで放送されましたが、そのときにTwitterで1秒間に呟かれた回数が25088と世界新記録を樹立したことが、今話題になっていますね。これまではビヨンセの妊娠告白時の8868ツイートというから一気に3倍近く。恐るべしラピュタです。
そのときに日本のみなさんが主人公のパズーとシータとほぼ同時に「バルス」とつぶやいたんですね。「バルス」は天空の城ラピュタを破壊する呪文です。
『天空の城ラピュタ』は、宮崎アニメのなかでもぼくが一番好きな作品です。大学生時代、リアルタイムで映画館に足を運び、すごく感動したのを覚えています。そのときは、わくわくして感動する少年と少女の冒険活劇として楽しみましたが、後になって、宮崎監督がそこに込めた社会的な思いというものも少し見えてくるようになりました。
天空の城ラピュタは、行き過ぎた文明社会、科学技術のなれの果てを見ているようです。『天空の城ラピュタ』は、ラピュタがかつて高度に繁栄した技術を利用して世界征服を企てる大人(悪者)から、少年(パズー)と少女(シーター)が子どもながらも未来のためにそれを阻止しょうとがんばるお話です。クライマックス、最後に唱える言葉が「バルス」です。
シーターがムスカ(悪者)と対峙していうセリフがあります。このセリフが、監督が最も言いたかったことではないでしょうか。
今は、ラピュタがなぜ亡びたのか、私、よく判る
ゴンドアの谷の歌にあるもの
土に根をおろし、風と共に生きよう
種と共に冬をこえ、鳥と共に春をうたおう
どんなに恐ろしい武器をもっても
沢山のかわいそうなロボットをあやつっても
土から離れては生きられないのよ
(『天空の城ラピュタ』シナリオより抜粋)
この「土」をいろんな意味に捉えることができるでしょう。なんか今の時代に通じ、原発事故のあった今年、切実に響いてくるセリフだと思いませんか。
ちなみに、シーターの名前は、サンスクリット語で書かれたインドの国民的叙事詩『ラーマーヤナ』のヒロイン「シーター」からきているそうです。そして、「シーター」はサンスクリット語で「畝(うね)」という意味だそうです。
パズーとシーターが「バルス」と唱えるシーン
「バルス」と唱えた後のラピュタ。天高く、高く上り、消えていきます
こ